FC2ブログ

-
日本で絵画を買うと、欧米より高いのが普通です。ざっと2~4倍の価格。ぼったくりではなく、需要の細さによる自由主義経済の必然です。あまり数が売れない地では、一個が高くなる理屈。ちなみにデパートだと、ギャラリーのさらに2倍説があります。

美術が一般化している国と、特殊化している国の違いは、値段にも表れます。しかも画材や額縁やプリント料も同様で、日本のアート関連物価は高い。日本で絵を買おうと思い立っても、価格までが特殊化していて手を引くことになりやすく、欧米のように気楽には買えない。

日本の美術界に必要なのは、現代アートフェスティバルの盛況よりは、作品が日常的に売れる環境でしょう。新興美術が人里離れた地に集まるよりも、市民社会に入って交流すること。ワーッと話題が集中して潮が引く特殊化ブームはもう卒業して、一般化と日常化に歩を進める必要があるのです。そのひとつが価格の適正化。

市販の農業用トラクターを美術館に置けば、7億円のアートに化けた。これが現代アートのよい宣伝になるかは怪しいでしょう。「僕もトラクターを家に飾りたい」と思わせる展開は、期待できないからです。

市販物のアート転用は値段の爆上げとセットだから、むしろぼったくり美術のネタばれを印象づけました。要は詐欺的に映っている悪役の立ち回りを演じた。近現代のキャンバス画や木彫だけでなく、雪舟のような古典までも巻き込んで、美術不信に火をつけた疑い。

価格の秩序は、買う身には切実です。既成の概念超えの美術家たちが、工業製品や廃棄物に「これはアート」と言って法外な値段をつけた一攫千金は、美術が市民から切れる特殊化のきっかけになりました。きずなの逆。市販トラクターを美術館で鑑賞しても、人間の創造力に目覚める効果が小さいなら、なおさら美術の壁を新たにつくったでしょう。
関連記事
スポンサーサイト
現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?