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頭でわかっても、ついて行けない現実。「この絵は絵になっている」と好感を持つのは、脳内記憶にあるイメージです。パターン認識が一致する親近性。この既視感の縁故で作品に親しみが起きるのが、既成の概念の本来の効用です。脳は元来オリジナル嫌い。

絵になっている感慨は後向きであり、創造性とは逆方向です。古い部分がウケて、新規の部分がウケない脳の宿命。ロックコンサートでニューアルバムの曲を演奏しても盛り上がらず、昔の曲だと盛り上がる現象が似ています。覚えがあるから楽しい。

デザインで顕著に起きるから、メーカーは既成の概念超えに慎重です。たとえば新車は最近の発案に限らず、過去のストックデザインもよくあります。それなら発案した当時発売すれば先進デザインを誇れますが、お客はついてきません。30年前に吊り目の車を出しても、買う人は少なかったでしょう。

お客は車らしい車に好感を持ち、その「らしい」は既存デザインです。もし大きく脱皮すれば、時代から浮いて商戦で敗退。人のこの反応は脳の機能に由来し、それ自体は善悪ではありません。

日本では美術全般が特殊化して、絵らしい絵の既成概念に国民間の断絶が目立っています。そこで美術展以外に、現代美術展という別枠を設けています。欧米にはない、日本だけの現代という別カテゴリー。ゴッホとポロックを別扱いする線引き。

1980年代の日本の目にポロックは絵にならず、税金で買うと地方議会で追求されました。円高で金余りの当時、県や市の美術館は19世紀具象を買いました。美術館の年代別購入作品をみると、ネームバリューを追いつつも、絵にならない絵を回避した歴史が読めます。日本が回避し売れ残ったポロックは、今は中東の国に巨額で買われるそうで。
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現代美術はインチキの詐欺ってホント?
Posted by現代美術はインチキの詐欺ってホント?