音楽のオブリガートの効果を絵画で読み取る
2017-09-08 Fri 01:45
音楽のオブリガートとは何か、ネットでよく質問に出ました。助奏と訳される技術です。ジャズ、ロック、ポピュラーでは簡単な話で、マイケル・ジャクソンの曲でも多用。が、回答は頭が痛くなる固い説明で、質問者が疑問を解消できていない様子です。

実例をあげた方が早い。宮川泰(みやがわひろし)作曲、阿久悠(あくゆう)作詞の『宇宙戦艦ヤマト』のこの部分。「うちゅうーーうせんかん」「ジャジャジャジャジャ」「やーーまーー」「ジャンジャジャーーアーン」「ジャジャジャ」「ジャンジャジャーーアーン」というあれ。「ジャ」で始まる金管楽器の演奏がオブリガートです。

スペースクラフトに生まれ変わった戦艦ヤマトの威容に、乗組員たちの高い志をつけ足します。行く手の困難と危険も予感させ、犠牲多き悲劇の旅を暗示する演奏。このラッパ演奏がないとマヌケに聴こえるから、飲み会で歌えば気の利いた人が大声で加えるほどです。

メロディーに加勢したり同調するに限らず、異なる方向へ広げる効果もあります。世界の映画音楽のオブリガートもトランペットなどが多く、高揚するメロディーに、やるせない気分や残酷な一面を加える小ワザがあります。これもまた、表現の裂け目の技術です。

同じ効果は、美術にも当然あるでしょう。絵画の背景は伴奏に当たるから該当せず、準主役的な描き込みが助奏役です。主役の近くにある引き立て役のパーツや、人物画の周囲の塗り分けなど。絵画のオブリガートも、裂け目の表現技術になるはず。できるはず。

ところが画家は、裂けるのを避ける傾向があります。主役をきれいに保ち、複雑な混濁をなくす意識が強めで。少なめ少なめの筆になりがち。「ジャンジャジャーン」の金管が聴こえない、歌だけの絵にとどまりやすい傾向を感じます。これを何とかする作戦は後で出てきます。
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