美術よりもエンタメ度の高い地震雲の心理学
2017-08-15 Tue 02:42
気象庁の資料では、日本で起きるマグニチュード5以上の地震は年に741回。一日平均2回以上という多さです。あまりに多いから占い師や予言者には天国なのに、現実にはさっぱり当たらず地震予言は非効率な出世法です。むしろ、気象庁職員の方が当てているのが実態。

日本で地震雲がささやかれます。ひそかな地殻変動が電波を発生させ、上空の雲に異変が生じるとする俗説です。ネットにもたくさん写真が出され、多いのは「のろし」のように大地から高空へ伸び上がる棒状の雲です。垂直に伸びた、怪しいタテ一本の白い雲。魔のひとすじ。

ひとすじののろしの根っこが将来の震源地となり、数日中にゆれるという主張です。その地震雲を見る時、パースペクティブの理解がカギになります。建築パースと同じ原理で、見る角度によって立体の形状がどう変わるかという。美術学校のデッサン授業みたいな感じ。

その地震雲の正体は飛行機雲です。ジェット旅客機のエンジンから出た水蒸気が高空で冷え、微細な水滴が空に残った気象現象。ライン状の雲を、横でなく縦に見たのが地震雲。自分の顔に剣道の竹刀を向けられたような、真正面から見た状態。電柱みたいに直立すれど、実は上端も下端も地上高が等しい水平の棒。実は立っておらず、寝たひとすじ。

地震雲を訴える心理にも関心を向けてみます。地震雲が本当なら気象庁が研究するはずなのに、専門家たちは誰も相手にしません。仕事がら飛行機雲や吊るし雲はよく知るからで、知らない素人の間でのみ真実を発見したと騒ぎになる、大衆社会のよくあるパターン。

専門家を無視して、僕だけは裏を知ると言う門外漢の心理。この心理が美術で流行らないのは不思議です。アートに限って、国民は専門家に従順。「僕らは専門家も知らない真実を見極めた」とする主張が美術では珍しい。美術より地震の方が、エンタメ扱いされる事態。
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