ダリ展がつまらないという声が集まった昔
2017-06-19 Mon 00:16
シュールレアリスムで知られるサルヴァドール・ダリが生きて、大やけどもなく現役の頃、ダリ回顧展が繰り返されました。知人の学生たちも会場に来ていて、感想を聞きました。「意外につまらないと感じた」という声が集まり、皆さん表情がやや曇りぎみ。

何室も使って大量の作品を並べた大回顧展なのに、拍子抜けした印象を持ったという。原因はむろん回顧展にありがちな大量ゆえの薄まりと、また代表的な傑作が出ていなかった点も。しかしもうひとつが大事で、芸術性が低下しつつあった当人の事情もありました。

ダリのコンセプトは、「超現実主義」と「偏執狂的」。彼は学生時代から他人と協調できる幅が狭くて対立しがちな不良性で学校は退学、芸術運動の親分からも破門されたり、仲間との関係もムラがあったのです。インタビューで、「女性に芸術は不可能」と言ったりも。超現実主義的なヒゲと同様に、話題づくりと思えるトーク。

ダリの1930年代の作品は傑出し、明確な敵がある時に濃い作品ができています。が、定評ができ人気が出ると、セルフパロディー化の傾向が出ました。曲がった時計や燃えるキリンなど、型の反復。悪意を迫真性に持って行くタイプで、愛されると作品がゆるむ人でした。

当時のダリ回顧展に、油絵具によるデザインを感じました。この先どうなるのだろうねと言い合っていたら、やがてあの事件です。本書でも触れている、日本でも警察が動いたスキャンダル。

ダリの絵が教えたのは、アイデアは芸術と関係がない点でした。日本人はとかく「この絵は命が宿っている」などと言いますが、その方が核心に近いでしょう。ただし精神論や信仰的説法にそれやすいから、言い方が難しいのですが。ともあれ、モチーフや意匠操作は具現化の処理法であって、一応は芸術から少し離れた話です。
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