絵を二度見るとおもしろい物語ができる
2017-06-16 Fri 01:55
昔見た絵を時間をおいてまた見ると、案外おもしろいのです。絵の事情から、自分の事情がつくられるから。自分の物語ができます。過去に見た絵の元へもう一度駆けつけると、きっと何かがわかるはず。

映画で経験はありませんか。映画館で観たずっと後でテレビ放映で改めて見て、印象が違うことが。縦横比の違いで画面の左右は切れますが、たとえば色なども。あるシーンで赤い服だった記憶が、後で見ると黄色だったりなど。こんな映画だったっけと。

ある映画。列車の座席に立てたアタッシェケースを殺し屋が両手で無理にこじあけると、ガスが噴出してひるみ、格闘になるシーン。しかし年月経て著者がDVDを買うと、アタッシェケースは床に平置きで、殺し屋はしゃがみ、片手でロック解除してあけるとガスが噴出。細部が全然違います。別の映画と記憶が混じっていたようです。

絵に再会すると、映画などと同様に細部の記憶違いに気づき、特に反動がよく起きます。つまり最初とは逆のことを、二度目に感じます。最初にガーンと強い絵だったら、次回はずいぶん繊細に感じたり。あたかも歴史的審判を短縮したような、振幅の大きいぶれが生じます。

ある面を初見で強く受け取って、作品は脳に片寄ってストックされるのでしょう。これは公募展の審査が、後世の目とかけ離れる理由といえそうです。審査時間によっては、細かく描き込まれた絵が優位なことも。微細な光景に快が生じる、ヒトの視力の問題もありそう。

そうした初見の印象の凹凸をならすように、多人数が何度もチェックした結果が歴史名作です。一人が一作品を一度だけ見て終わりでは、確かに何もわからなくて当然といえるでしょう。音楽も一度聴いて二度聴かないなら、難しくてピンとこない曲ばかりになります。同一作品を複数回見るだけで、アートにぐっと近づけます。
関連記事
スポンサーサイト
別窓 | わかる手がかり | トラックバック:0 |
この記事のトラックバック
トラックバックURL