海外へ逃げていく日本美術の今昔
2017-06-07 Wed 01:05
「日本では現代美術に関心が低い」と言うと、すぐに反論が出るでしょう。「現代アートフェスティバルは大入りだぞ」「テレビや新聞で話題だぞ」と。しかしそれは一般化ではなく特殊化です。交流パーティーや飲み会とバーベキューにプラス、都市の喧噪からの一時脱出。日常的に現代アート作品を買い、家に飾る欧米との差は開いています。

一般化したアート市場がないから、美術作品は外国へ脱出しています。実は今は、海外進出志望者が日本に増えていて、しかし思うように出られません。脱出資金がつくれない、国内不況問題があるから。台所事情で、美術からフェイドアウトする美術家がむしろ増えている危機。

昔に目を向けます。その技法をマネやゴッホが学び、印象派が生まれるきっかけになったと虚偽通説があるほど誇らしい日本の浮世絵。筆描きと木版画があり内容もピンキリで、明治の浮世絵は今でも日本の美術館に箱いっぱい保管され、大量在庫があります。

一方で、記念切手の図柄に見るような、写楽、歌麿、北斎、広重などの名作もあります。それらにも版画タイプは多く、原版の版木がどこかにあるはず。版木は「打ち出の小槌」でもあり、たいへん貴重な文化財ですが、それら名作の版木は誰が持っているのでしょうか。

実はアメリカにあったりします。明治の日本で浮世絵は無価値で、どうでもよかった。西洋の写実画より稚拙で粗末な、ガッカリ絵画でした。そのすきを突いて、欧米から来日中のエンジニアや学者が「コノエハグッド」と集めて、本国へ持ち帰りました。決定的な国宝級の版木を、アメリカの美術館が所蔵しているのはそのためです。

エジプトやギリシャや中国の美術品もまた、イギリスやアメリカに収蔵されています。ただ、日本は文明の勢いを持ちながらも、文明開化で洋ものに入れ込み、自国の絵に関心が低かったのです。明治に逃げて行った分と、戦後の名家没落による物納の流出分が主だとされます。
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