カレンダーフォトなら芸術を逆体感しやすい
2017-05-23 Tue 01:00
音楽でこんな経験はありませんか。「とてもきれいな曲だけど、ぐっと来ないんだなあ」。芸術の秘密を示す重要ポイントです。きれいであることが、まんま芸術性なのかという根源的な問題だから。明らかに違っても、違いの説明は難しいのです。

実は昔から「きれいなことと美しいことは違う」という言い方で、先人たちが提示してきました。とはいえ普通の国民の感覚としては、きれいイコール美しいイコール芸術性と、簡単に割り切りやすいところはあるでしょう。きれいは誰でもわかりやすいし。

たとえば油彩の具象画では、きれいさの程度に比例して目を引き心を打つものです。だから、この絵はきれいだけれど芸術性は低いのさという理解のしかたは、へそ曲がり的でやりにくかったでしょう。

ところが写真作品では、きれいなだけの空虚をよく体験します。代表がカレンダーフォトです。主にプロカメラマンが撮った思いっきりきれいな写真で、ある種のカレンダーでよく見ます。この語はかつて写真界ではよく言われましたが、ネットに情報はありません。

桜やもみじや渓流、気球が浮かぶ空だとか、高層ビルの重なり。たいへんにきれいでありながら、重みや深みがなく表面的なのです。素人には撮れない抜群にきれいな写真が、なぜ心に来ないのか。きれいだからそうなのか、きれいなのにそうなった失敗か。

ところが、芸術は裂け目です。カレンダーフォトには裂け目がありません。平穏無事で健康的だから、芸術的創造性を感じさせないのではと。文学作品も似ています。小説の多くに殺人や濡れ場があり、モラル破りやショッキング描写があるのはなぜか。きれいごとは芸術にあらずという真理は、平面アート以外では定着しています。
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