日本庭園を抽象絵画に変えるセンス
2017-05-17 Wed 00:09
「抽象絵画はちょっと」と敬遠する日本人も、旅先で日本庭園を目にすると普通に「いいね」「美しい」と感じることでしょう。実物ではない写真だとしても。その日本庭園の造園レイアウトとは別に、それを絵のように見せるビジュアルの工夫が、実は抽象絵画に似ています。

外国の人が驚く日本庭園の見せ方に、旅館やホテルの和室2階に大きくガラス窓をとった借景があります。窓から何メートルか離れた向こうに広葉樹が並び、枝葉を横から眺めます。立面図のように、水平方向の視線で見る仕組みです。庭園の色彩を、室内から絵画的に見せます。

夏には鮮やかな緑色で一面の壁、秋には赤と黄色で一面の壁。樹種により、緑の壁に赤がポツンとあったり、葉のすき間が黒いとか、赤と黄色の壁に白が点々と混じっていたり。

絵のような光景ですが、その絵とは洋画であれ日本画であれ、抽象画の体裁です。色を塗り分けたような構図。窓枠は額縁となり、窓の区切りは屏風の継ぎ目のよう。地面はトリミングされて見えないレイアウト。その絵のような美しさの正体は、抽象絵画の構成美でした。

美術と銘打たない分野では、日本でも大昔から抽象画的なイメージが得意でした。抽象図の美観が、和の伝統として一般化しています。錦鯉の模様の感覚。欧米で20世紀に抽象画が生まれ、ショックで動転したり賛否の騒動が尾を引いたのとは違い、日本ではよくあるし普通。

ところがその日本で本物の抽象絵画に対しては、「抽象はちょっと」となりやすい問題です。美術と銘打った時の条件反射なのか。著者が思ったのは、明治以降に流布した情報が発端で、社会教育効果によって苦手意識が国民に広まった疑いです。最近その線で一話ができました。
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