絵の向きが間違っている-作品カタログの場合
2017-04-26 Wed 00:47
かつて著者が公的な学生展に出品した時のこと。カタログ図版が届き、ページをめくって自分の絵を見つけた瞬間、強い違和感がありました。数秒間は、何が何だかわからない状態。よくよく見ると、作品が左右逆に反転して掲載されていました。想像以上の違和感です。おもろい。

現在の書店に並ぶ本も雑誌も美術カタログも、全てがDTPと呼ぶデジタル編集で版がつくられ印刷されています。パソコンソフト上でレイアウトし、活字と画像を置き並べていく方式です。そのひとつ前の方式が「電算写植」で、新聞の第一面がカラーになった頃がこれでした。

さらにさかのぼると電算でない「写植」方式になり、全てがアナログです。ミシンを思わせる写真植字機で、ガチャンガチャンと原稿どおりに字を打ちます。黒いドラム内にセットした薄手印画紙に、活字の陽画像を感光させます。長文を打つ時間もかかり、年季も必要でした。

その印画紙を液にひたして現像し、乾かしカッターナイフで切り、レイアウト台紙なる版下に特殊なノリで貼ります。写真やさし絵などの画像も同様に、撮影フィルムを現像し引き伸ばし、乾くと切って台紙に貼り付けます。手元の狂いで傾けば、傾いたまま出版されます。ノリ貼り版下は出版後に捨てるから、当時の雑誌の復刻は難しい。

そんなアナログ時代に時々あった図版のミスは、写真の裏焼きでした。取材写真を印画紙に焼き付ける工程で、ネガフィルムを引き伸ばし機のキャリアにセットする時、表裏を間違って置いた失敗です。当時反転が多かったのは、おそらく人の顔写真だったと想像しています。

美術カタログにも、こうして左右逆の写真がたまに生じます。その時の強い違和感が、ある真実を示しています。絵をかいた者以外には違和感がない場合も多いからです。それはなぜか。
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