棟方志功の絵を買った人は複製画をつくってもよいのか
2017-04-20 Thu 01:27
絵画を買うなどして作品の実物を手に入れたら、複製画を作ったり、絵はがきやカレンダーに使うことは容易です。しかし個人や団体に所有を移した絵を、果たして自由に複写してよいのか。ここには、ベルヌ条約という国際的な規約を元にした法律があります。

ベルヌ条約の本部はスイスにあり、文明国はもちろん加盟しています。日本は何と19世紀の1899年(明治32年)に加盟し、創造保護国として欧米文明クラブに所属してきました。そこでは、無形の表現物を守ることに力が入っています。無形なのがミソ。

買った絵画を展示して、鑑賞客から料金をとることは合法です。ところが、絵画を写真に撮ったプリント物を展示して料金をとると違法です。「こんなふうな絵」という目に入るイメージの意匠権は、つくった画家が持ち続けるからです。別人は自由な複写ができないのです。

絵を譲っても、図柄は譲っていない。買った人はブツのみ所有でき、コンテンツは所有できない。ハードウェアは移管でき、ソフトウェアは移管しない。当然ながら、誰が作ったかの名義も動きません。買った人が作者に成り代わって、新しい作者を名乗る権利はないのです。

音楽で考えると簡単で、レコード、テープ、CDを買っても、曲の著作権は入手できません。ダウンロード購入客は聴くだけ。複写したり自分が歌って売る時は別の支払いが必要です。録音テープやマスターテープや音源データを入手してさえ、音を売ったらいけない。音楽も美術も、活用契約を作者や相続者と結ばないといけません。

著作権には時効があり、日本は作者没50年、欧米は70年。ピカソ作品の著作権は、日本ではあと5年の2022年末に失効し、絵の所有者は複製画や絵はがきを作れます(一部の戦勝国に財産権がない場合)。しかし買ったのがジクレーなら、撮影者とデジタル編集者にも著作権があり、そちらとの交渉が別途必要です。
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