ゴッホの絵は生前に本当は何枚売れたのか
2017-04-11 Tue 00:20
ゴッホは生涯絵が一枚も売れなかった説があります。売れ数ゼロ説は、後世の画家の発言に比較的よくみられました。高階秀爾編集の小型画集『ゴッホ』では、一枚だけ売れたとありました。本書は一枚説をとっていますが、もっと売れていた俗説もあります。ただし・・・

ゴッホは実は売れっ子だったという説は、認知の不整合を埋める目的でよく出てきます。当時は売れず今は最大級の巨匠である。その食い違いの違和感を消そうとして、実は当時から大物だったのだという話へ書き換えたくなる人情です。後世の美化というもの。

不整合をつじつま合わせする弁舌で多いのが、「ゴッホは自分の優秀さを知っていて、絵を売らなかったので、だから売れなかった」というもの。この売り惜しみ説は当然ながら書簡集と合わず、同業の画家からも出ない解釈であり、ネットの電波説垂れ流しの一面でしょう。

補足したい情報もあります。ゴッホが周囲に絵を進呈していた点です。無料配布の行動。金品の見返りがあったり、引き換えに何かを世話してもらっていたら、売ったのと同じ意味になるかも知れませんね。

ゴッホが知人に絵をあげていたのは、死後を託す気もあったと考えられます。公開して不評だった上に、サロンなど業界人や運動仲間にも相手にされず、少しでも世に残そうとの自然な作家心理です。買ってくれないなら、あげるしかない。リアルタイムにゴッホの絵を価値なしと判定した人の中に、セザンヌとゴーギャンも含まれます。

皆いらないから、捨てた絵もあったでしょう。一部は絵心のある人が加筆したそう。ゴッホ絵画で儲けた人は、周囲に皆無とわかっています。くれくれと言い、借りて返さないとか、ひそかに盗んだ人もおらず。ある画商が後に回顧展を開いたら、やはり相手にされず、彼の19世紀は終わりました。書簡集の出版は、ピカソのあの問題作よりも後です。
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