ゴッホは本当に統合失調症だったのか
2017-03-27 Mon 01:10
あの美術家は頭がおかしい、この画家は狂っているという話題は、昔からありました。一番多く言われたのは、おそらくピカソでしょう。一方で日本で最近、「ゴッホは統合失調症だ」とする説が多くみられます。この説はもっともらしいデマです。通りのよいデマです。

そもそも「統合失調症」という近年よく聞く精神病には、周囲が気づく陽性症状があります。関係妄想や思考障害、テレパシーやさとられ系の脳内乗っ取りを体感し訴えるのです。隠せない病気。罹患初期に最多の症状は、自分の周囲の人々がグルになって自分を見張り、悪口を言ったり信号を送ってきて、じわじわ弱らせ殺そうとする被害妄想です。

今ではゴッホの人生はすっかり丸はだか状態で、何といっても弟テオに宛てた膨大な手紙(書簡集)が証拠として残っています。本一冊などの規模ではない、巨大な遺品です。書簡集で、ゴッホに統合失調症の症状がみられないとわかっています。当時のゴッホは、日常の出来事や思いを細かく書いていました。遠回しの仕送り継続願いがほとんど。

ならば、ゴッホを統合失調症とする説は、誰が何の目的で書いたのか。書く動機が脳科学の研究対象にできます。このテーマ「芸術は難しい、現代美術はわからない、抽象はちょっと」と深く関係するのかも知れません。たとえば、わからない者による逆襲です。

すなわち、ゴッホ絵画がわからない者が、自己弁護でデマを流した疑いです。当時の周囲はゴッホを天才や狂人ではなく、持っていない画家と認識しました。今になって面識のない、遠い時代の遠い人のみゴッホを狂人と言い出すのは、ゴッホ絵画にはじかれた傷心の挽回かも。

芸術がわからない中にも意識高い系がいても当然で、ピカソは精神病と宣告した人は、ピカソと面識のない医者でした。上流階級の高い地位。自分がわからない絵の作者を「あっちの人」へと切り離すことで、創造に理解及ばぬ自分を正当化するステマ的な印象操作でしょう。「ゴッホは統合失調症」も、この線で疑ってみることができるかも知れません。
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