Archive2017年02月 1/1

抽象画がつまらないと感じる無理もない理由

現代美術がわからない問題の核心は、三大画家タイプの7億ピカソと、ダダ運動タイプの7億トラクターを分別しない混沌もありました。一応は美術界の失敗でした。それとは全く別の問題に、抽象アートがあります。この本の中で、抽象は何度も何度も切り口を変えて説明しています。なぜそこに重点を置くかは、具象と抽象の違いはそれ自体が抽象思考だからです。「抽象」の語も抽象語だし。これは脳のはたらきの問題ともいえて、今世紀...

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科学への反感はなぜ生まれやすいのか、夢占いのケース

芸術と反対の分野は科学ですが、こちらも誤解や曲解にさらされます。たとえば夢。「何かが見つからなくて焦っている夢をみるのは、将来不安や自分探しの意味」などの、夢解釈や夢占いがよくありますね。二つとも人類の全員が常時必ず持っている深層心理である点、つまりフリーサイズ言葉なのは今は無視しましょう。実際にこんな夢がありました。夢の中の自分が「鉄の爪」の話を出します。相手は目を丸くして「そんな物があるのです...

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美術に贋作が多いのは、美術がわからないことも一因か

高級腕時計やカバンを偽造して、本物より安く売る闇市場があります。これを美術でやるのが贋作(がんさく)で、完全コピーでなく有名画家の未知の作品を装います。売る相手は美術館やアートコレクター。贋作は音楽では起きない気がします。ホロヴィッツやイーグルスの贋作レコードや安室奈美恵の贋作CDは珍しく、ブートレグ(海賊盤)と呼ぶ違法コピー盤がやっと。それとて本人が演奏した、販売権のないダビング製品です。音楽大...

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曜変天目茶碗の玉虫色の鑑定、作品を見るだけでわかるのか

「作品を見れば、良さがきっとわかります」という言い方は、アートの色々な場面で出てきます。でも物を見る時に、何が目に入りどこに着目するかが、人によって大きく異なる問題があります。骨董品を鑑定して価格を決めるテレビ番組で、『曜変天目茶碗』が新たに発掘認定されました(ようへんてんもく、耀の字も)。中世時代に現中国の福建省の窯でつくられた、偶発的な焼成釉の茶碗。逸品は世界の3個全てが日本の国宝だそう。4個...

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売れる画家と売れない画家はどこで分かれるのか

作品が売れている画家と、さっぱり売れない画家がなぜ生じるのかは、昔と今では理由が違います。昔は、技量の高低でした。上手で手慣れた画家が、「よく描けている」とほめられて売れました。今は、買い手にわかる作品が売れます。わからないと売れない。昔と今、たとえば18世紀と20世紀以降で何が一番違うかといえば、今は一人一人のやっていることが異なっています。ピカソとミロがそうであるように、作品が似ていません。こ...

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日本人の物づくり哲学にあるのは良品探求

日本の文明と文化を他国とくらべ、ほめそやす話題が何年も前から増えました。新幹線がすごいとか、コンビニのパンが最高だとか。テレビのコメンテーターは、これらは日本人が閉鎖的なナショナリズムに向かう悪い兆候だと警告しました。一方ネットでよく言われるのは、自虐史観の反動で起きた日本ヨイショだと。素直に考えれば、不景気の日本を応援しただけのような。「景気は気」という群集心理を打開しようと、明るい話題になる日...

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抽象は死んだのか、純粋抽象アートの場合

抽象アートの中で、純粋抽象はほぼ死んでいるでしょう。死んでいるという意味は、作る側にとっても見る側にとっても、もう芸術体験にならないこと。創造の糧にもならないことです。謎も含みもなく割り切れていて、過去形となった状態。俗に言うアカデミズム化というやつ。純粋抽象のわかりやすい例は彫刻で、たとえば直方体や球体を巨大化したオブジェは、ステンレスであろうと木彫であろうと、純粋抽象に入るでしょう。絵画なら代...

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芸術をほめる言葉が貧困になっている文学界

「素晴らしい」「感動した」と作品をたたえ、感慨の大きさで芸術性の大きさを裏づける場面がよくあります。「絵の高い芸術性を見届けた」体験をわかりやすく表現するために、アートファンはしばしば自身の心の高まりを強調します。でも、そうした言い方は無意味なんですよ。たとえば振り込め詐欺の犯人グループは、高齢者から巧みに300万円をだまし取るのに成功したら、「素晴らしい」「感動した」と言い合ってわくかも知れませ...

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自由と自由感が比例しない表現物はなんでだろー

作者が自由な気持ちで飛翔し、その飛翔作品を見た人は不自由な気持ちになる。この問題を考えてみます。過去にクラシック系の「現代音楽」や、ジャズ系の「フリージャズ」が流行して、すぐに陥った悩みがありました。簡単に言えば、作るルールを取り払った自由奔放な表現物は、鑑賞者には逆にストレスがたまって肩がこる問題でした。高揚するテンションや刺激は意外に感じられず、何も入ってこなくて眠くなったりして。たとえばチッ...

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現代アートは自由主義か排他主義か

リベラルが本物なら、リベラルの否定も容認されるべき。哲学書の一節ではなく、今思いついただけです。これが自由主義の矛盾となってきます。リベラルとは寛容を意味し、本来は何でもありのこと。現代アートもリベラル主義の体現者といえるでしょう。2015年にパリでテロ事件が起きた直後に、「表現の自由を守る」のスローガンがフランスとEU国で強く叫ばれました。しかしイスラムをからかう漫画は自由と言う一方で、キリスト...

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