Category制作インサイダー情報 1/2

世の中にわからないものは多いという理解も大事か

わからないものは何も美術に限りません。日常の中に不明なものは山とあります。本書には、美術以外のわからない日常問題が出てきます。鏡が左右逆に映る話とか。STAP細胞はあるかとか。たとえば、こういうやりとり。「不倫ぐらいで、国民がバッシングするのはおかしくないか?」「そうじゃなくて、国会議員が記者会見でウソを連発してばれて、叩かれているのだ」「でも、不倫なんてどの有名人もやってるでしょ?」。「温暖化は...

  •  -
  •  0

日本のプロ画家志望にもスカな絵が目立つのはなぜか

主因は、日本に確かな美術市場がないからです。日本のアート作者は、公募コンテスト中心に動くことが多く、その展覧会場は販売禁止がほとんど。だから、合否の採点者に合わせた制作に向かい、でも採点者は買う人ほどは真剣に見ることはなく。そこに入ってくる思想が、芸術の無目的性です。目的なき制作を正統とする思想。よく聞く言い方に、「芸術は人の衝動なり」がありますね。ばくぜんと何かを表現したい本能があって、その純粋...

  •  -
  •  0

勝っている人のアートと負けている人のアート

少し前に著者は美術館で人と会い、作品の差異をひとつ提言しました。それは「勝っている画家の作品と、負けている画家の作品がある」というもの。絵画が多くに愛され期待され、協賛スポンサーもついて売れているのは、勝っている画家です。負けていた画家の典型はセザンヌとゴッホで、多くに黙殺され、期待外れで、協賛スポンサーもつかない。ゴミクズ絵画。印象派のモネやエコール・ド・パリのモディリアニも、もちろん負けていた...

  •  -
  •  0

現代芸術家はなぜ世界の絵をよく知らないのか

音楽業界には、世界の音楽に詳しい人がいます。雑学が豊富で作曲家や演奏家にも詳しく、交流もあったり。たとえば、ニューミュージックの大瀧詠一や山下達郎は、1950年代以降の英米のオールディーズ曲に詳しく、いくらでも話が出てきます。しかし画家や彫刻家に、そのタイプはあまりいません。もちろん国民が美術に関心も低く、どうでもよいこともあるでしょう。ところが実は、美術家が互いに関わらない慣習も大きいのです。ま...

  •  -
  •  0

苦労して描いた絵が凡作になりやすい理由

野球のホームランと似ています。バットがボールによく当たりよく飛ぶ時には、バッターは比較的楽に動作しています。逆に詰まって飛ばないとか、凡打でアウトの時は、苦心してバットを振り回していて。苦心と成績が反比例する状態です。苦心して美術の傑作が生まれないことは、制作を続けると気づきます。だから傑作に作者の言葉はあまり残されず、名作の裏話を知りたくても当時の話題がないことが多い。作品だけがポツンと残り、い...

  •  -
  •  0

美術家の考えを理解せよのアドバイスは諸悪の根源

その最悪のアドバイスは、ネットにもたくさん出回っています。「現代アートなんか怖くない」「現代美術をもっと理解して楽しもう」というサイトでも、力強く繰り返されていて。このアドバイスが間違っている大きな根拠は、昔のアドバイスもこれだったから。過去あっての現在なわけで、長年続けてダメなハウツーを、さらに強いて好転はないでしょう。作者が何を思いつき何を考え、どういう意図かを理解しようとして、国民のアート嫌...

  •  -
  •  0

五千万円の絵に五千万円分の価値はあるのか

国内の鉄道駅から盗まれた絵を売買した人たちが、最近有罪になったニュースがありました。盗品として押収された絵の写真もありました。読者の反応は、やはりというか金額に振り回されるばかり。「この絵が五千万円とは自分にはピンとこない」「素人の僕にはわからない価値があるらしいけど」「絵一枚より昼飯一回分の方が貴重だし」「芸術の世界ってわからないね」「抽象画だからわかるわけないし」。昔ながらの疑問が噴出。まず、...

  •  -
  •  0

アート作品はどこまで作れば完成するのか

手塚治虫の漫画は、生前からレジェンド扱いでした。漫画雑誌に連載された後で、別の雑誌にまた連載されることがたびたび。特徴的なのは、掲載するたびに中味が改変されたことでした。手塚治虫自身がひんぱんに作り変えたからです。なぜ漫画家が発表後の作品に手を入れるのかは、たぶん週間連載の締め切りに追われたバタバタの大忙しで、初版に不備が多いからでしょう。別の漫画家ですが、ネーム間違いや意味が通らないコマや、似た...

  •  -
  •  0

美術作品をつくった作者の気持ちをわかる必要はあるのか

そう改めて問われたら、ノーの回答も多くなりそうです。「作者の気持ちと、僕らの芸術の感動は別だろう」という考え方が国民に広がれば、よい傾向でしょう。著者もいくつかの理由で、制作した時の動機をたどる意味はさしてないと判断しています。理由のひとつは、たどっても当たらないからです。他人の気持ちは推理がつながらない部分が多くなり、ウソが多くなるから。ピンク・フロイドの名からフロイト博士の名を連想し、誤解釈を...

  •  -
  •  0

芸術がわかる人をすぐに見分けられるかという一般質問

えぐい質問も来ます。「芸術がわかる人を判別できますか?」の単刀直入とか。質問の意図は、誰の言うことが本当なのかという迷いもあるでしょう。何しろ取ってつけた俗説が幅をきかせ、利害対立の批判合戦が目立つ分野なので。実は美術業界の人でも、芸術への関心があまりないことも多いのです。芸術性にこだわる人のみ、集まった業界でもなくて。芸術って何なんすか?と、意外な方向からの質問も来るから。雰囲気やカッコが先行す...

  •  -
  •  0

プロのアーティストたちはピカソをわかっているのだろうか?

こんなふうに想像しませんか。プロはピカソなどわかりきっていると。現代アートを作る美術家たちは、みんなピカソなんて初歩として心得て楽勝だと。ピカソは素人には難解だけど、プロたちには何でもなくて、とっくに卒業済みだろうと。それはたぶん甘い見込みで、ピカソは想像以上に現代人の壁です。実際にピカソわからんという人は、美術家と鑑賞者で近い割合ではないかと感じます。その判定にたどりつくヒントは、たとえば日本で...

  •  -
  •  0

現代アートによくみるカラ主張も理解できなくはない

昨今の美術家のあるある問題として、主張の意味の空転がみられます。「作品の内容で主張しないで、思いで主張する」という主張。わかりにくい言い方になってしまいました。作品の造形面の内容がそもそも薄く、鑑賞者に対して主張が不発な時。それを「主張しない作品こそが、作者の主張なのだ」と言う。存在感のなさが主張になっていると主張するパターンで、いわばカラ主張のようなもの。その手の作品を欧米へ持って行くと、目を引...

  •  -
  •  0

現代アートの巨大彫刻にキャンプ場の夜を連想した

美術は難しいと国民に言われたり敬遠される境遇に、現代美術家も悩んでいたり、打開しようと頭を使っています。現代アート敬遠対策をがんばってほどこした、ある彫刻群があります。クワガタムシ、ショウリョウバッタ、エンマコウロギなど、昆虫の姿をした彫刻です。鑑賞者はびっくり。何にびっくりかといえば、大きさ。長さ10メートルなど巨大で、どーんとそびえて目立つ。「芸術だけにスケールが大きいですね」と報道記者たち。...

  •  -
  •  0

アーティストを枯らさないために互いの支えも欲しい

おそらく世界で誰もやらない分析は、アーティストが行き詰まる過程です。当初は調子がよかった作品が、作り続けるうちにつまらないものが増え、アイデアが枯れていく変化を分析したことがありました。そのプロセスは音楽でよくわかります。80年代終盤の、あるブラジル人のエレクトリックギター演奏が例。デビューアルバムは、作曲アイデアも演奏もみずみずしいものでした。すき間狙いが多い時代にしては、いかすメロディーの曲が...

  •  -
  •  0

展覧会にちょうどよい作品の個数は何点か

展覧会の作品は、何個置くのが理想かという問題です。日本の展覧会は特殊で、公募コンテスト展が主流です。先進国の主流はアートフェア方式で、目的はコンテストとは全く異なり作品販売です。欧米は商戦で、日本は賞選。商戦のアートフェアでの売れ方を考えてみます。展示作品数が多いほど、よりたくさん売れそうな気がします。が、実はそう簡単ではないのです。今こちらでわかっている結論は、適正規模があることと、それが展覧会...

  •  -
  •  0

現代画家の悩みは多品種に広がりやすいこと

現代日本の画家の作品を扱っていると、過去にはなかったある問題が広がっていることがわかります。多品種化です。マルチ作風がとても多いのです。一人のやりたいことが多く、気が多い。作風というものは一人に一つだけあるのが従来は普通で、人の顔でも森の風景でも、描けば雰囲気が共通するものです。デッサンのゆがみや、色彩の選び方、塗る筆タッチなどに個人のクセが出ます。しゃべり方みたいなもの。だから新作を見るとあの作...

  •  -
  •  0

絵を見せる向きが間違っている-展覧会の壁の場合

展示壁に平面作品をかける時、作者以外は作品の天地逆や横倒しに置くミスを時々やります。著者も両方とも失敗したことがあります。受難は抽象画がほとんどで、人物、静物、風景の具象画三点セットではまれです。ただし略画だったり、全面に芝生を描いた具象画ならあり得ます。木目の写真なども間違いやすい様式です。作者側は事前に、向きがわかるよう工夫します。額やキャンバスを吊るひもの付け根を上側に寄せるとか、ペーパー作...

  •  -
  •  0

絵を見せる向きが間違っている-作品カタログの場合

かつて著者が公的な学生展に出品した時のこと。カタログ図版が届き、ページをめくって自分の絵を見つけた瞬間、強い違和感がありました。数秒間は、何が何だかわからない状態。よくよく見ると、作品が左右逆に反転して掲載されていました。想像以上の違和感です。おもろい。現在の書店に並ぶ本も雑誌も美術カタログも、全てがDTPと呼ぶデジタル編集で版がつくられ印刷されています。パソコンソフト上でレイアウトし、活字と画像...

  •  -
  •  0

美術の本を読まない人に向けて本を書く矛盾は大きい

美術の本は、何となくどれも同じに思えます。固い調子でかしこまっているか、美辞麗句を並べて師への敬意もべたべたとか。ところが本書は異質で、よくある疑問に答えるために聖域なき前提でどんどん踏み込んでいくから、既存の出版社からは出せない禁書でした。たとえば1988年に出版を断られた時には、裸婦の銅像をめぐる高齢男性の性衝動の問題に触れていて、編集者から注意を受けました。やはりタブーでした。今の日本では高...

  •  -
  •  0

美術に贋作が多いのは、美術がわからないことも一因か

高級腕時計やカバンを偽造して、本物より安く売る闇市場があります。これを美術でやるのが贋作(がんさく)で、完全コピーでなく有名画家の未知の作品を装います。売る相手は美術館やアートコレクター。贋作は音楽では起きない気がします。ホロヴィッツやイーグルスの贋作レコードや安室奈美恵の贋作CDは珍しく、ブートレグ(海賊盤)と呼ぶ違法コピー盤がやっと。それとて本人が演奏した、販売権のないダビング製品です。音楽大...

  •  -
  •  0